ひまわり通信

2024年夏号 第125号

あつい

汗だくの女の子

ゾンビウィルス
~コロナ前、コロナ後~

 ゾンビウィルス映画と言えば、やはりこの2つ、2002年に製作されたダニー・ボイル監督のサバイバル・ホラー映画『28日後…』とその続編、『28週後…』(2007)ではないでしょうか。ロンドンで人間を凶暴化させるウイルスが蔓延し国が壊滅状態に陥ったことが始まりで、シリーズを通じて国家や軍隊が唱える「安全」がいかに欺瞞的で、暴力的なものであるかが描かれています。また、人々の「愛」や「善意」が図らずも感染拡大を引き起こし、世界中を恐怖に陥れていく様子が描かれています。まさに「地獄への道は善意で敷き詰められて」いました。韓国でも、『新感染ファイナル・エクスプレス』(2016)をはじめ、何本もの名作、ゾンビウィルス映画がつくられています。

 私は数年前、ひまわり通信でこの「28日後」シリーズについて書こうと思っていましたが、コロナパンデミックが始まり、やめました。急速に凶暴化していくゾンビウィルス感染者に対して非感染者がむき出しの暴力で対抗していく姿や、感染したら「死あるのみ」的な絶望的ストーリーを、コロナ禍の中で「映画評」として書くことがどうしてもできなかったからです。

 ところが、コロナパンデミック真っ盛りの2021年、これまでのゾンビウィルス映画における、感染者に対する考え方を大きく転換したドラマが作られました。それが韓国ドラマ『ハピネス‐守りたいもの‐』です。ここでは、ワクチンも薬も何も開発されていない段階でありながらも「感染者を殺さない」「必ず治る」という意思をもって主人公がサバイバルを繰り広げ、圧倒的な権力を持つ国家・企業と渡り合いながら薬の開発を待つのです。なるほどな、でした。コロナ禍の中で自覚せざるを得なかった私自身の差別意識ともきちんと向き合わなければいけないと思いました。韓国映画界・ドラマ界に学び、私も成長していきたいと思います。

 ちなみに、「28」シリーズのさらなる続編『28年後…』が作られるとの噂です。楽しみです。

(編集後記にかえて)

夏休みのお知らせ

下記の通り、夏休みをいただきます
8月11日(日)~18日(日)