年の瀬に

鍼灸師 篠原 憲彰

北海道

 9月に、私の生まれ故郷、北海道常呂郡佐呂間町字浜佐呂間(佐呂間湖の東端近く)に行って来ました。

 6年前に大腸を30cm程、切除しました。偶然行なった別の病気で癌がわかりました。徴候もなく危険な状態になるところでした。その頃から行ってみたいとの思いが募り、今年ようやく実現しました。

 まだ訪れていなかった知床観光を経て、佐呂間湖の東端にある栄浦にホテルを取りました。ここからはバスも通っておらず、自転車で浜佐呂間に向いました。しかし、目の前に拡がる風景は思っていたものとは違っていました。生まれた家の辺りは畑と林と、その奥は湖、周りには家すらありませんでした。

 幸いにも名前の知っている菓子店が見つかり、状況を教えてもらいました。鉄道の駅は36年程前になくなり、線路もどこを走っていたかわからなくなっていました。

 私が通った学校は、小さくきれいになって建っていました。舗装された道路、きれいな橋、建物。歩いている人は見掛けませんでしたが、村は寂れた感じはありませんでした。

 60数年ぶりの故郷はすっかり変わっていましたが、当時のできごとが蘇ります。

 生まれた家では、犬、猫、鶏を30羽位、豚も一匹飼っていたこと、冬には針金で罠を作り、兎やイタチを捕えたこと、林に囲まれた畑で熊に出会ったこと、山に山菜を採りに行き、迷い、捜索隊を出されたこと、牡蠣(かき)から感染した赤痢で大勢の人々が学校に隔離されたこと、妹が車に撥ねられたとの知らせを受け、湖から家へ全速力で走ったこと。ホテルで佐呂間湖の夕日を見ながら妙な安心感を覚えたものです。

 さて、福島原発の汚染水排出により、中国による帆立貝等、海産物が全面輸出停止になってしまいました。北海道の損害は大きく、残念に思います。

 パレスチナでは、「自衛」の名目のもとに、イスラエルによるパレスチナ人の殺りくが続いています。1948年に、米英を中心とする国連によって、かってにパレスチナを分断し、暴力で国を追い出したのではないのでしょうか。イスラエルは国連で決めた自治区にすら侵入し、殺し、水・電気、生活まで奪い取ろうとしています。

 シオニストを自称するアメリカのバイテンは停戦すら呼びかけません。「地球沸騰」と言われるように、これから私達はどうなるのだろうと考える一年でした。

 私には「老い」を自覚せざるを得ない一年でした。

 


うろたえる人

3人とも

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