三寒四温
所長 毛利 一平
この原稿を書いている、今日は3月22日の早朝です。昨日まで順調に春だったのに、今日は冷たい雨になりました。
一週間ほど前の地震のせいで動いていない発電所があり、みんなが暖房を控えめにしないと停電するかもしれないらしい、なんてニュースで言っています。暖房温度の設定を20度にとも。でも、この寒さだとちょっと難しいかもしれません。
もういい加減、新型コロナのことについて書くのは終わりにしたいのですが、なかなかそうもいきません。年が明けてからの第6波は、本当に大変でした。オミクロン株の感染による症状は、いつもの風邪かそれよりも軽いくらい、という人も多かったのですが、とにかく感染力が強く、どんなに注意していても感染してしまう人が続出しました。
どんなに軽い風邪でも、たくさんの人がかかってしまえば、中には症状が重くなったり、もともと治療中の病気と重なって亡くなる方も出てきてしまいます。
ひまわりの患者さんのなかにも、コロナへの感染を防ぎきれず、亡くなられた方がありました。病床がひっ迫していたことで初期の対応に難しさがあったり、一旦悪くなってしまうと病状の悪化を食い止めることが難しかったり、ニュースで報じられている通りのことが身近で起こるのは、やむを得ないことではあるけれども、つらいことでした。
診療所の仕事もひどく忙しくなってしまいました。発熱外来での診療・PCR検査は、最も多い日で20件くらいだったでしょうか。しかも検査の陽性率は最大で100%、いまだに50%を超えています。
保健所が軽症患者の経過観察をやめてしまい、その役割が回ってきました。通常の発熱外来での診療に加えて、診療所で診た新型コロナ患者に毎日電話で健康状態を確認せよというのですが...できるはずがありません。コロナ患者の療養期間は10日間と定められていますから、毎日わずか2人のコロナ患者を診たとしても、10日後には全部で20人の患者の経過観察をこなさなければなりません。それは到底無理なことです。
僕の仕事の仕方が悪いのかもしれませんが、保健所への報告だとか、カルテの整理だとかを済ませるだけで真夜中になることもしばしば。それからそのほかの仕事を済ませようとすると、どうしても時間が足りません。いつの間にか、診療所で仮眠をとりながら仕事をして、明け方部屋に戻ってシャワーを浴びてまた仕事に戻る、そんな毎日が続いています。
そしていままた、ウクライナでの戦争が追い打ちをかけてきます。毎日、テレビやインターネットから届けられる現地の惨状を見るたび、胸が苦しくなります。
振り返れば、ユーゴスラビアも、イラクも、シリアも、そしてパレスチナも、戦争はずっとどこかで続いていて、毎日のように銃弾に倒れる人がいて、怒りがあって、悲しみがあって、絶望があって。その一方で、何事もないかのように笑っていた僕らもいて。
僕らは何をやっていたのでしょうか。
たった一人の、大国の独裁者にここまでもてあそばれてしまうのが悲しいです。
自分に何ができるのかわかりませんが、でもまず何よりも確固とした意志を持って、毎日を続けようと思います。それを邪魔しようとする力に対しては、それがどんなに大きくてもあらがってみせたいと思います。ウクライナの人たちも、きっとそんな気持ちで今を戦っているのではないでしょうか。
コロナとの戦いもまたしかり。
つらい日ばかりが続くわけではないはず。苦しさの中に見え隠れする喜びや、その先にある希望を見据えて、今日もきちんとがんばろう、と思います。
だ・だ・だ
大丈夫?
つ、疲れた・・・