新しい年を迎えて

理事長 平野敏夫

 2021年も例年どおり「あっという間の1年」でしたが、新型コロナの流行が昨年に引き続き収まらず、更に大きな流行の波もあり一層早く感じた1年でした。

 7月から8月にかけた大流行の時期には発熱外来の患者さんが増えて、PCR検査の陽性者も1日に5~6人という日もありました。スタッフの日々の緊張感が高まる中、毛利所長を中心に毎日頑張り、大いに地域医療に貢献したと思います。ただ、コロナのおかげで昨年から延期していた設立30周年のイベントの開催を中止せざるを得なかったのは残念でした。

 いいこともありました。ひまわり診療所では、名取医師を中心に建設労働者のアスベスト被害の問題に取り組んできました。昨年のひまわり通信夏号で詳しくお知らせしましたが、昨年の5月、最高裁判所が建設労働者のアスベスト被害について国と建材メーカーの責任を認め被災者に対する賠償を命じたのです。診療所では労働組合や中皮腫・じん肺・アスベストセンター、東京労働安全衛生センターと連携して、アスベスト関連疾患の患者さんの治療、労災申請の支援また予防の取り組みを進めてきました。アスベストは、古くから知られる発がん物質にもかかわらず建材に多く使われてきました。そして、建設現場でアスベストを吸入した多くの建設労働者が肺がん、中皮腫、石綿肺などに苦しんできました。国と建材メーカーは、防火や断熱のためにアスベストの使用を推進したにもかかわらず現場での安全対策を怠ったため多くの被災者を出したことを最高裁が認めたのです。

 この判決により、提訴していない被災者にも給付金が出されることになりました。これからも診療所の被災者支援の活動は続きます。

 今年も新型コロナの流行は予断を許しません。警戒しながら日々の診療に当たるとともに、労災職業病の問題にも取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いします。