悪性胸膜中皮腫(悪性腹膜中皮腫)・アスベスト(石綿)肺癌と労災保険の手続き

 職業起因性疾患の場合、労災保険を使用する事が法律で決められています。労災保険は、休業の補償や遺族補償等が手厚い保険でもあります。制度が患者さんや御家族のみならず医師にも知られていないので、使われない事が問題となっています。なお、労災保険の手続きは、よほど詳しい方でないと難しい所が何点もあります。まず受診等で相談をした上で、手続きを開始し、その後も手続きのポイント毎でアドバイスを受けながら手続きする形をお勧めします。

1) アスベスト(石綿)吸入の職業歴が

(ある・ない)

 <1>「ある」なら労災保険である可能性が濃厚ですので、ご相談下さい。

 <2>「ない」と思うけれど、よくわからない場合

 中皮腫もしくはアスベスト(石綿)関連肺癌の方は、詳しくお話を伺うと必ず過去のいつかでアスベスト(石綿)等を吸入した事実が判明していますので、ご相談下さい。

2) アスベスト(石綿)の職歴を医師に伝えたが、その後も健康保険のままである。

(はい・いいえ)

 「はい」なら、医師が労災保険の制度に詳しくない可能性があります。労災保険に明るい労災補償支援NPOに相談、もしくは当外来に受診の上、一緒に医師と面接してもらう事で解決した例が多いと思います。

3)医師から「アスベスト(石綿)の所見が認められなかった。アスベスト(石綿)と病気との関連が不明である。」と言われた。 

(はい・いいえ)

 「胸部レントゲン写真やCT写真で所見がなかった」とされる場合で「レントゲン写真やCTで所見がない場合」と、「胸膜肥厚斑や初期のアスベスト(石綿)肺等のアスベスト(石綿)関連疾患所見をチェックされていない場合」があります。CTの撮影方法が検出しにくい条件であった場合もあります。

 「手術や解剖の病理所見で石綿(アスベスト)小体がでなかった。」とされる方も数多くいらっしゃいます。殆どがプレパラートのみのチェックで、標本をお借りして肺を解かす消化方法での石綿小体の検出を行うと、検出された例が目立ちます。実施ご希望の方はご相談下さい。