良性石綿(アスベスト)胸水とびまん性胸膜肥厚

<良性石綿(アスベスト)胸水>

 石綿(アスベスト)に起因する良性の胸水です。

  1. 石綿(アスベスト)曝露歴があり
  2. 同じ側や反対側に胸水を繰りかえし
  3. 胸水をきたす他の原因(細菌・結核・ウイルス・悪性腫瘍・膠原病・心不全等)が認められない
  4. 経過から悪性腫瘍が否定できる
場合に除外診断で診断される疾患です。自覚症状としては胸痛や呼吸困難等が主で、無症状のまま胸部レントゲン写真で発見される事も多いとされます。ステロイドが有効なこともありますが数ヶ月で自然に軽快し、しばらくの期間をおいて再発します。壁側と臓側胸膜に影響を与え拘束性呼吸障害から、徐々に呼吸困難が悪化する場合も多く、びまん性胸膜肥厚へ進展する事もある疾患です。2003年から労災補償の対象疾患となり、認定例が2004年からではじめています。

<びまん性胸膜肥厚>

 臓側(肺側)の胸膜が様々な原因で、びまん性間質性に繊維化をきたし、その病変範囲が胸郭全体の4分の1を超えるものをいいます。原因として良性石綿(アスベスト)胸水が多いが、悪性腫瘍や感染や外傷等でもありうるので鑑別が必要となります。胸部レントゲン写真で肋骨横隔膜角の不鮮明化、胸部CT写真で全周性の肥厚を認めます。悪性中皮腫との鑑別で胸膜生検を要する事もあります。良性石綿(アスベスト)胸水から、びまん性胸膜肥厚となり、在宅酸素療法に到った例の経過を今後お示めしします。2003年から労災補償の対象疾患となっています。