ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 所長 平野敏夫

 ひまわり診療所もおかげさまで15回目の新年を迎えました。地域の患者さんはもちろん、遠く茨城、福島からもじん肺の患者さんが来られていますし、バングラデシュやフィリピンなどから来ている外国人労働者も診察を受けています。最近は大工や左官など建設関係の労働者もじん肺やアスベスト関連の病気で通院しています。しかし昨年を振り返ってみますと、一昨年に比べて患者さんの数が少し減ってきています。「藪医者」という評判が立っているのでは?という一抹の不安がありますが、どうも全国的な傾向のようで、一昨年の健康保険制度の「改悪」で組合健康保険と政府管掌健保の自己負担が2割から3割に増えたことによる受診抑制が大きな要因です。当院ではその影響が昨年1年遅れで出てきたようです。医療費を減らそうという政府の思惑がある程度効を奏したのでしょうか? 現に慢性疾患の患者さんで受診回数を減らした方もおられます。受診したいのに手控えている患者さんもおられるでしょう。

 イラクで日本人が人質になった時に、「自己責任」という言葉が人質に対して浴びせられました。国は、病気も「自己責任」と言わんばかりに医療費の自己負担を増やし続けています。今問題になっている「混合診療」の解禁もどうやらその狙いも込められているようです。混合診療とは、保険診療と保険外の診療を併用することで、保険が適用されていない治療もお金を出せば保険診療と一緒に受けられるというものです。一見便利なようですが、お金の有無によって患者さんの健康や生命に格差や不平等を生みかねません。へたをすると健康保険の適用範囲が狭められて自己負担が増える可能性があります(詳しくは高山さんの文章を読んでください)。今年もこの混合診療には反対して行きたいと思います。

 職場においても働く者にとって厳しい状況が続いているようです。いじめや嫌がらせ、セクハラなどで神経症になり診療所に来られる方も増えています。厚生労働省は、メンタルヘルス対策ということで指針などを出していますが相変わらず長時間労働やストレスの多い職場状況はあまり改善されていないようです。外国人労働者の患者さんも減っています。この間の出入国管理局の厳しい取締りが一因で、とにかく診療所に来にくくなっています。オーバーステイとはいえ真面目に働いている外国人が安心して暮らしていけない国になりつつあります。

 どうもいい話は余りありませんが、少しでも明るい世の中になるよう皆さんと共に今年も進んで行きたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

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