ひらの亀戸ひまわり診療所
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2014年1月 第85号

患者さんインタビュー

(インタビュアー高山)

【Yさんは75歳。じん肺にてひまわりに通院して約10年です。】

【労災認定まで】

高:じん肺と伺いましたが、どこで仕事をしてこられたんですか?

Y:北海道です。いくつも炭鉱を渡り歩きました。そして南大夕張炭鉱で炭鉱の仕事は最後でした。ここの炭鉱は規模の大きな炭鉱でしたし、ここが一番長く勤務しました。

高:あそこが日本で最後の閉山した炭鉱でしたね。結局トータルで何年ぐらい仕事をされていたんですか?

Y:合計で34年位でしょうか。

高:じん肺の症状はいつごろから出るようになったんですか?

Y:仕事をし始めて22~3年した頃です。私の年齢だと40歳頃だったと思います。息苦しさも感じるようになっていました。その後に会社の指示で行った管理区分申請で管理2(じん肺の所見があるというランク)という決定をもらっています。初めて管理2をもらったのは45歳の時であったと思います。

高:それでどうされたんですか?

Y:会社からは毎年定期検査をやるように指示されていましたが、管理2というのは、それだけでは労災になるわけではないと言われましたし、その程度の状態で働いている仲間にはたくさんいたわけです。ですから、特に何もせず今迄通り働いていました。

高:マスクなどはしていなかったのですか?

Y:実は、1975年に会社からマスクをして仕事をするようにと厳しいお達しが出て、マスクの支給がありました。それまでは個人個人が手ぬぐいなどで口をふさいで仕事を続けていたのです。ただ、口をふさいでも、鼻からは沢山炭塵が入ってきていて、鼻は真っ黒でしたが。私は1990年に炭鉱が閉山になったので会社を辞めざるを得ませんでした。52歳の時です。その後、炭鉱は閉山したので、知人を頼って茨城県に移ってきました。そしてまだ働ける年齢なので、建材工場に再就職して、60歳の定年をそこで迎えたわけです。

高:すると「ひまわり診療所」の存在はどこでお知りになったんですか?

Y:実は私の妹の亭主も炭鉱の労働者だったんですが、北海道で組合の役員をしていました。私が管理区分で管理2だというと、管理2というのはじん肺があるという事だけれど、それに合併症がつけば、労災になり、治療費も休業補償も出るという事を教えてもらったんです。組合の役員をしているだけあってよく知っているんですよ。私はじゃ、どうすれば良いんだと聞いたところ、近々東京に行く予定があるので、弁護士さんに会う、その弁護士さんにどこで診てもらうのが良いかを聞いてあげる、と言ってくれました。東京から帰ってきて言うには、東京と、千葉とあるけれどどちらが良いかというので、東京の方が近いと話したところ、こちらを紹介されたわけです。

高:なるほど。それで「ひまわり」にはいつ来られたんですか?arrow

Y:平成16年です。正式に労災が決まったのは、翌年2月頃だったと思いますが。

【弓道の事】

高:ところで、趣味の弓道は随分長いと伺っていますが。どういう経過で弓道をされるようになったのですか?

Y:もともとスポーツは好きだったんです。それで野球をやっていました。ところが40才を過ぎたころ、野球をやっていて、全力疾走で一塁に駆け込んだところ、もう、息が出来ないほど苦しくて、動けなくなってしまったんです。その時から野球はぷっつりやめました。しかし、どうもスポーツへの気持ちは高まっていたところへ、職場の上司から弓道に誘われたんです。たまたま東京で大会があるという事で、それまで、飛行機なんかに乗ったことがなくて、それにつられて遊びで始めたようなものです。

高:北海道で始めてから茨城に転居してからも続けられたんですか?

Y:茨城に来てからは週に1~2回、弓道場に通うようになりましたが、60歳で仕事を辞めてからは、週4日、1日3時間はやるようになりなりました。

高:弓道というのは、剣道や柔道のように段位のようなものはあるんですか?

Y:あります。下から錬士、教士、範士で、範士がもっとも高い位とされています。これは段位とは違って、称号です。弓道も武道の一つですから、道を求めています。ですから人格、識見、礼儀、作法などが優れていなければ称号はもらえません。これとは別に段位があります。初段から十段まで。初段の下が、1級~5級まで、最初の初心者は5級という事になります。

高:弓道をやっていて良かったことはどのようなことですか?arrow

Y:一つはボケ防止、二つ目に日常生活に充実感があるという事でしょうか。

高:普通ではお聞きすることが出来ないお話を本当にありがとうございました。

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