患者さんインタビュー
インタビュアー高山
<Aさんは80歳。50年以上に及ぶ大工仕事でじん肺に続発性気管支炎が合併して労災認定となった方のインタビューです。>
(高)この診療所にお見えになるきっかけは?
(A)実は10年近く前からなんとなく風邪気味で近所の医者にかかったんですが、特に異常はないというお話で。それで少し大きな病院に受診して診てもらったんですが、やはり同じだったのです。ところが、今から5~6年くらい前から、少し早く歩くと息切れで苦しくなり、休み休み歩くようになったのです。丁度その頃、組合からじん肺健診を受けるようにと話があって受診したら、ここの診療所で治療するようにと言われて労災申請することになったのです。
(高)それはいつ頃のことですか?
(A)平成20年(2008年)です。
(高)その頃はまだ働いておられたんですか?
(A)働いていました。ですから労災が決まっても、最初の内は、診療所に来る日だけを休業補償してもらっていました。それが段々と調子が悪い日が増えていったんですね。
(高)それが全休で補償を受けるようになったのはいつごろですか?
(A)まだ3年になっていませんね。
(高)すると、今は診療所にどのくらいの割合でお見えになっているのですか?
(A)そうですね、大体2週間に一度くらいですか。
(高)ところで、先日の診療所主催の「花見の会」に御撮りになった写真を提供していただいて有難うございました。もう相当長い間写真をおやりになっているのですか?
(A)そうですね。最初は仕事で撮っていたんです。
(高)仕事というと?
(A)家を建てますね。建築途中の写真や出来上がったものをその都度撮っておいて、家を引き渡しの時にそれまでのものを全部入れて、施主にアルバムとして渡すんです。それがとても喜ばれるのがうれしくてね。
(高)それは嬉しいでしょうね。特に建築途中のものは家の構造とか内部にどんな材質のものが入っているか、出来上がってしまうと分かりませんからね。
(A)そんなきっかけで、だんだんと外に写真を撮るようになったんです。
(高)撮られているテーマは、花見の会の時の写真では太陽が昇るところや沈むところが多かったですが。
(A)昇るところと沈むところですが、どの背景の中で沈むか昇るかですね。
(高)どこに行かれるのが多いんですか?
(A)南房総から静岡の御殿場あたりまででしょうか。
(高)それには理由があるんですか?
(A)基本は太陽の動きを追って撮影していると言って良いかもしれません。写真を撮っている者の間では太陽を『ダイヤモンド』と言っています。太陽は冬至の時の日の出と日の入り、夏至の時の日の出と日の入りの場所が違うんですよね。要するに関東地方で見えるふり幅の限界点という事ですね。それを知っておいて、その場所で撮影する。しかもどの背景とのコラボが美しいかを判断し、太陽の動きという時間とその時の風や雲の具合によって良い写真が撮れるかどうかが決まってきますね。その一瞬、一瞬が違うし、たぶん同じ条件の時はないのではないでしょうか。だから面白い。
(高)これから撮りたいと思っておられるところはどこですか?
(A)実は、和歌山県の二見が浦と言うところがありますが、あそこの岩と岩を結んでいる綱がありますよね。その岩の間に海から昇る太陽が入る一瞬を撮影したいと思っています。大体6月20日前後だと思いますので、その頃に行ってみたいと思っています。
(高)そうですか。本当に面白いお話をありがとうございました。お体に気を付けていらしてください。