毎日の通勤は自転車なので電車に乗ることは少ないのですが、最近時々電車に乗ると「人身事故」で遅れることがしばしばあります。最近は「人身事故」でもホームで携帯などに夢中になって電車に接触する事故が増えていて、必ずしも自殺とは限らないようですが、とにかく多い今日この頃です。ここ10年、1年間の自殺者が3万人を超えるという深刻な状況が続いています。平均すると毎日全国のどこかで約100人が自ら命を絶っていることになります。
ところで、「うつ」などの精神障害や自殺が、仕事が原因とされて労災保険の対象になることをご存知でしょうか? 先日の新聞に厚生労働省の発表が載っていました。発表によると、2011年度、長時間労働や仕事上のストレス、職場でのいやがらせなどによる精神障害を理由にした労災保険の請求が1272件(認定されたのは325件)あり、3年連続で過去最高を更新したとのことです。このうち自殺(未遂を含む)が過去最多の202件(認定は66件)です。請求を年代別にみると最も多いのが30~39歳で420件です。20~29歳が247件で、若い世代が約半数になります。ここ数年長時間労働や残業による「過労死」が問題になってきました。特に若い労働者が月100時間にも及ぶサービス残業でうつになり自殺するケースも出ています。また、職場のストレスで最近問題になっているのは、同僚や上司(時には部下)によるセクハラ(性的嫌がらせ)、パワハラ(上司・同僚・部下からの暴力、暴言)、いじめ・嫌がらせです。辞めるように仕向ける陰湿な嫌がらせもあります。診療所の外来でも、「職場のいじめや嫌がらせで夜眠れない」、「職場に行こうとすると具合が悪くなって行けない」、頭痛、胃の痛み、動悸などの身体の症状を訴えて来られる方もいます。労働組合に相談して配置換えをしてもらった方もいますが、どうにも耐えられなくて退職する方のほうが多いようです。
とにかく職場が忙しすぎる、お互いのコミュニケーションが取れない、お互いに助け合う雰囲気がないなど様々な要因があるようです。少しずつでも変えていきたいものです。診療所では毎月2回心療内科の梶原医師が診療しています。心の具合が悪くなったら受診してください。