ひらの亀戸ひまわり診療所
backhome

2012年1月1日 第77号

山茶花と寒椿

高山俊雄

 私の住まいは新小岩である。数年前は新小岩から診療所まで歩いて通ったこともあった。しかし、小松川橋を渡り、京葉道路を歩き続けると、相当の排気ガスを覚悟しなければならない。それで通勤は、電車に戻ってしまっていた。それが、どうも年のせいもあるが、太り気味になり、歩行通勤の再開をしなければと考えるようになった。昨年の10月頃のことである。しかし、排気ガスをどうするかで逡巡していた。いろいろと考えた末、平井まではいつものように電車で行き、その後を歩くという作戦を立てた。

 歩行通勤最初の日。どの道を行けばどこに行きつくのか分からなかったが、京葉道路の方向を見定め、歩いて行った。翌日からは毎日同じ道を歩くのも面白くなく、まっすぐ行ったり、すぐに曲がったり、一週間ほどで、この道が一番よさそうだという道を見つけた。それは、平井駅を南口に降りて、10mほど行き、右に曲がってそのまま真っ直ぐ行く。ぶつかったあたりが小学校の運動場。(この小学校は、校舎と運動場が道を隔てて別にある)

 そこを左に曲がり、10mほど行くと右手にブルーのアーチ型で鉄の橋が見える。「ふれあいばし」である。この橋が江戸川区と江東区の境である。その橋の上からスカイツリーがよく見え、よく、写真を撮っている人がいる。その橋を渡ったら右に行く。橋の下は、幅20m位の穏やかな川が流れており、何が釣れるのか分からないが、太公望が座っていることもある。その橋の江戸川区側のたもとには、1945年3月9日~10日にかけての東京大空襲で多くの方がこの川で亡くなったことが刻まれた石碑がある。橋を渡って右に20mほど行き、今度は左に入ると、亀戸中央公園である。診療所の近くの中央公園がすべてであると思っていた私は、歩行途中の公園も亀戸中央公園であることを知ったのは、数日後に地図で確認してからである。

 そこの道すがら山茶花が咲いていた。最初は山茶花とは思わず、寒椿だと思っていたら、その木の根元に山茶花(つばき科)とある。白い花もあるし、赤い花もある。同じ花のように見えても、別な山茶花の種類の名前がある。毎日同じところを通るうちに寒椿との違いがどこにあるのか、調べてみたくなった。調べてみると、分かったことは次のようなことであった。山茶花と寒椿は同じツバキ科だからであろう、葉も花も外見からは区別できない。咲く時期も、山茶花が10月中旬から翌年の2月頃まで咲くのに、寒椿は11月下旬から翌年の2月であるから、あまり変わらない。ただ一点、寒椿が横に咲き、背丈があまり大きくならない(約1m)のに対して、山茶花は倍以上になる。ところが、寒椿の中で「獅子頭」という種類は、背も高くなり、山茶花と見間違える。だからなかなか区別しにくい。でもどうしても見分けたいというなら、花の数かもしれない。寒椿は14枚くらい。山茶花は11枚程度と若干少ない。

 最後に子規の句をご紹介しよう。

「山茶花を 雀のこぼす 日和かな」

Copyright © 2003 - 2019 Himawari Clinic. All rights reserved.