ひらの亀戸ひまわり診療所
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2011年10月31日 第76号

「とぅばらーま大会」

看護師 下地 るみえ

 「とぅばらーま大会」は、私の生まれた島である沖縄・八重山諸島の石垣島で、毎年旧暦8月13日の夜に開催されます。

 「とぅばらーま」というのは郷土民謡といってよいものですが、ゆったりとした曲調で男女や親子の情愛、昔ならば農作業の行きや帰りに謡っていたという八重山の誇る郷土歌謡です。三線(さんしん)の伴奏に、独唱か二人の歌い手同士の掛け合いで謡うのです。メロディーは基本的には同じですが、詩や謡い方(節回し)はさまざまです。特に詩は、昔から歌われている詩であったり、即興で謡われることもあるといいます。もちろん地元八重山の方言(言葉)で謡わなければなりません。大会はそれを競うものです。

 今年は9月10日が「とぅばらーま大会」の日でした。今年も、八重山現地の予選の段階から参加した49名の参加者のうち、勝ち抜いた22名に加え、関西予選会の優勝者1名の計23名が、本大会に出場し、三線、独特の節回し、自慢の声を披露しました。

 今年は、この「とぅばらーま大会」を鑑賞するため、私の兄弟及びそれぞれの連れ合いと私の義理の母親を含めて、久しぶりに石垣島に全員集合し、揃って大会に出かけたのです。

 当日はあいにくの曇り空で少し残念でしたが、時折り雲の谷間より美しい月も垣間見られ、同じメロディーだが、すべての出場者の個性溢れるそれぞれのとぅばらーまに聴き入りました。

 私は東京では二人の息子の母親として生活に追われていて、石垣島に住んでいる両親には、なかなか会えません。今回は、とぅばらーまのゆったりとしたリズムが流れる中、「会うときは親に存分甘えたい」。そして、この両親への感謝と、その子供であることの幸せを充分に感じさせてくれた大会でした。

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