ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 所長 平野敏夫

 今月29日千代田区の神田一ツ橋中学校で「反貧困フェスタ2008—貧困をどう伝えるか—」という催しが開かれます。当日、会場に来られた参加者の健康相談に亀戸ひまわり診療所が協力することになりました。

 このフェスタは、反貧困ネットワークという団体が主催するものです。反貧困ネットワークというのは2007年10月に発足した団体で、日本でははじめての貧困問題に幅広く取り組むネットワークです。代表は宇都宮健児さんという弁護士ですが、市民団体や労働組合、学者などが貧困問題を社会的・政治的に解決することを目的として集まっています。

 ここのところ「格差社会」、「ワーキングプア」、「日雇い派遣」など新聞やテレビで報じられることが増えています。多くの若者が年収200万円以下の収入しかなく結婚も出来ない。日雇い派遣で食いつないでいる若者がネットカフェで夜を明かしている。また、年間の自殺者が相変わらず3万人を超えていて、サラ金などからの多重債務や失業による貧困が原因になっていることも多いなど報道されています。隅田川や新宿中央公園にも多くの路上生活者が暮らしています。しかし、必ずしも貧困問題の実態が正確に報道されていないために、「本人の努力が足りない」、「競争社会ではやむを得ない」など「貧困は自己責任」という風潮もあります。反貧困フェスタは、現在広がる貧困の多様な実態を伝えるとともに、貧困の中でも頑張っている人たちを元気づけようという企画です。

 ひまわり診療所は、「貧困に反対する春の無料医療相談会とレントゲン検診」に参加します。貧困と病気は密接な関係があります。病気になっても経済的な理由で医療機関にかかれません。不安定雇用で会社の健康保険に入れてもらえない、かといって国民健康保険に入る経済的な余裕はない(約1割の国民が保険料を滞納)、健康保険に入っていても3割の窓口での自己負担が払えないという人もいます。不安定雇用や生活の逼迫のためにうつ病などの精神障害になっている人も多いと聞きます。また、ネットカフェでその劣悪な環境のために結核の集団感染が起こっています。先日高田馬場の公園でブルーテントのなかで結核で亡くなった路上生活者がいました。フェスタでは、医療機関にかかれなくて困っている人たちが気軽に相談できる健康相談会を企画し、結核の早期発見も考えてレントゲンも撮れるようにしました。現在ボランティアの皆さんが準備を進めています。皆さんも反貧困フェスタに参加してみませんか。

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