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来年度新しい法案として、「医療制度の改革」として国が提案しようとしているものの根幹は、少子高齢化にあることは誰の目にも明らかです。ではどのくらい少子高齢化社会になると、予測しているのでしょう。国立社会保障・人口問題研究所はH14年に次のような予測を立てています。概ね20年後の2025年の稼動年齢(15歳から64歳)数は毎年50万人減って、1000万人超が減ってしまうこと。反対に65歳以上の年齢数は毎年40万人増えて、20年後には800万人が増えるというものです。法案が検討されている背景のもう一つのものは、医療費の伸びをどのくらいとして見積もっているかですが、現在の国民総医療費の額は、32兆円。これが20年後、ほぼ倍の65兆円と予測しています。数字の正しさは分かりませんが、制度の改革と称するものを考えるにこの二つに関わる数字は頭に入れておいて良いと思います。 では具体的にはどのように変わるという提案なのでしょうかー基本的には、2008年度から大きく変わるという提案であり、その中で来年度はどうなるのかと分けて考える必要があります。先ず、来年変わると考えられるものは、来年10月から70歳以上で現役並みの年収がある夫婦(520万円以上)は、これまでの2割負担から3割負担に変わります。これによる自己負担増は上限5万円/月くらいです。つまり、老人という弱者扱いはされなくなるということです。又、70歳以上の方が医療療養型病院に入院する場合(長期入院が可能な医療機関)は、食費として4.6万円/月、居住費として4万円/月、合計8万6千円を余計に支払わなければならなくなります。これは、介護保険が食費、居住費を今年10月に自己負担化させたことに伴い、医療機関にはこうした自己負担はなかったため、介護保険の施設利用から医療機関に移ることを防ごうとするものです。これだけで、月13万円も増えることになります。そして08年度からは、現在1割負担の70歳-74歳の方々が2割負担と負担増になります。75歳以上の方は、この方々から保険料を取って新たな高齢者だけの保険制度を作るとしています。細かくはいろいろとありますが、来年度以降、明らかに負担が大幅に増えることは明らかです。更に重要な変化は、生活習慣病といわれる糖尿病、高血圧、高脂血症などを予防するために、健康診断を各保険者に義務付け、検診を受けていないで病気になった人の治療費は自己負担など、信じられないような施策が始まるのかもしれません。自分の健康を国に管理されたいと思う人があるでしょうか。国によるさまざまな管理の始まりでなければ良いが、と深く危惧するところです。 |