ひらの亀戸ひまわり診療所

下地るみえ

 7年前に引越ししたとき、桜の苗を購入した。長さ30cm程の丸木で根がどっしりとした苗。鉢に植え替え、数年後には桜の花も咲かせるようになり、毎年春が来るのを楽しみにしていた。

 ところが苗を植え替えるとき、土に混ざっていたのか名も知らない植物も同時に成長していた。不明な植物は、枝と枝の間にとげがあり、葉は柑橘類の匂いがする。今年の春、その植物にちょうちょが舞い降り、葉に止まっては離れ、数ヶ所に同じ行動をした後飛び去った。その時に葉の上を見たが、何の変化も見られなかった。

 しかし数日後、水遣りをしていると背中に黄色でV字模様をした黒い幼虫がいた。一匹、二匹、‥‥、なんと十一匹も。虫が苦手な私はびっくりしたが、命あるもの様子を見ることにした。日増しに大きくなる幼虫は、色鮮やかな青虫へと成長した。しかし、植物は見るも無残、青虫の食とされ、散々な状況である。その後、幼虫は葉を離れて、ベランダの人目のつきにくい場所へと移動した後、さなぎへと変化した。

 数日後の朝、孵化を見ることはできなかったものの、成長したアゲハチョウを見ることができた。美しくも弱々しいが一匹、一匹と美しい蝶へと成長し、飛び立っていった。

 ある日近くのホームセンターで植物を見ていたら、我が家の名も知らない植物があり、その木は柚子の実を付けている。なんと柚子の木であることがわかったのだ。その事実がわかった後には葉をきれいにして柚子が実ることを楽しみに水遣りの日々だったが、何とびっくり秋にも幼虫を発見。その数四匹も。このままで柚子の実は実るのでしょうか? 幼虫と柚子の葉の両方に心配する毎日です。

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