ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 理事長 平野敏夫

 昨年は何と言っても後半アスベストでにぎやかな一年でした。6月末の新聞報道で兵庫県尼崎の大手機械メーカー「クボタ」で働いていた多くの労働者がアスベストによる中皮腫などで亡くなっており、更に周辺住民にも健康被害が及んでいることが明らかになって以後、診療所にも多くの健康不安を訴える患者さんや、中皮腫や肺がんなどの患者さんが来院されました。診療所としては、「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」の所長名取医師を中心に以前からアスベストによる健康被害について診断・治療・労災補償などに取り組んでおり、「何を今更」というともに、人が死んだことが明るみに出ないと動かない国の姿勢に憤りを感じました。ともあれ7月からこれまで200名近い方が来院されました。様々な職種の方がおられますが、尼崎と同様に工場周辺に住んでいてアスベストによる胸膜肥厚斑が見られる方もおられ、改めてアスベスト被害の拡がりを痛感しました。今年も引き続きアスベスト問題に取り組んで行きたいと思います。

 アスベストも重要ですが、すべての患者さんに影響する医療保険制度の改革がこの通常国会で審議されようとしています。高齢化による医療費の上昇を抑制する目的で患者さんの自己負担を増やそうというのです。特に老人の自己負担を増やそうとしています。現在、窓口で支払う自己負担は、70歳以上の患者さんで1割または2割ですが今年の10月から一定額以上の所得がある方は3割、そうでない70〜75歳は2割にしようというのです。患者負担を増やすことによって受診も抑え医療費を減らそうという目論見です。公費は使わない方針です。米軍がグアムに移転する費用は税金で面倒見ても私達の医療費には使いたくないというのでしょうか。税金も同様です。所得税・個人住民税の定率減税を廃止して増税する一方、会社の法人減税は延長するという税制大綱が出されています。どうもこの間の国のやり方は、文字通り「弱きをくじき強きを助ける」ものとしか思えません。これは全く間違った政策です。「弱者」に手厚くすることがすべての人々にとっても安心して暮らせる世の中になるのです。

 とにかく今年も皆さんとともに一歩一歩進んで行きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

今年は犬歳。犬も歩けば増税にあたることのないように!

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