ひらの亀戸ひまわり診療所
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2015年春号 第90号

ひまわり診療所もバトンタッチ

理事長 平野敏夫

 早いもので、1990年に診療所が発足して25年、四半世紀になります。「ひらの亀戸ひまわり診療所を応援する会」をはじめとする多くの皆さんのおかげでここまでやって来ることが出来ました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。

 私も医療法人の理事長として25年間やってきて65才になりました。診療所の定年は65才で、定年退職の年齢です。しかし、理事長をすぐ辞めるわけにはいきません。かといっていつまでも居座っていても診療所の発展はありません。世代交代をしながら「ひまわり診療所は不滅です」とは言いませんが、診療所を発展させて行かなくてはいけません。

 ひまわり診療所は「働く者の診療所」として設立されました。労働災害職業病の被災者の治療と補償の医療、労働災害職業病の予防の活動に取り組んできました。肺がんや中皮腫などのアスベスト関連疾患の被災者のサポート、アスベスト含有建材を扱う建設労働者の予防の取り組みを進めてきました。アスベストは発がん物質で、肺がんや中皮腫を発症するまでに10年から50年という長い潜伏期間があります。息の長い取り組みが必要です。4年前の3月11日東日本大震災が起こり福島第一原子力発電所の大きな事故のため、福島県民をはじめとして多くの市民が放射能に被曝しました。また、緊急作業の中で多くの労働者が高線量の放射能に被曝してきました。すでに福島県の子供たちに甲状腺がんが多発しています。放射能も発癌性があり、アスベストと同様に長い潜伏期間ののちにがんを発症します。福島第一原発で働いている労働者や放射能に被曝した市民が数十年後に発病する可能性があります。その時に補償など相談に乗れる診療所としてひまわり診療所も少しは貢献できるかもしれません。それまでは診療所を続けていなければならないと思います。そのためには若い人たちに引き継いでいってもらわなくてはいけません。

 昨年から私より一回り若い毛利一平先生が常勤医師として診療しています。これまで25年間、私が医療法人の理事長兼診療所所長としてやってきましたが、4月から毛利先生に所長をお願いすることになりました。診療所の日常外来は毛利先生を中心に進めて行きたいと思っています。私ももちろん診療を続けますが外来は減ります。月に一回第4土曜日には、福島のいわきに原発で働く労働者や除染労働者を対象にした健康相談会に出かける予定です。よろしくお願いします。

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