ひらの亀戸ひまわり診療所
backhome

2014年春号 第86号

診療を通して考える

理事長 平野敏夫

 今年になって、診療所にもインフルエンザの患者さんが少なからず受診されました。今年はB型のインフルエンザの方が多かったようですが、比較的症状が軽い方が多かったように思います。

 発熱があると、会社や学校からインフルエンザの検査を指示されます。熱がそれほど高くなく症状も軽くてインフルエンザではないのではと思って検査すると、インフルエンザB型の反応が出てちょっとびっくりします。インフルエンザと診断されると、会社、学校から1週間の休学、休業が指示され、休まなくてはなりません。熱が下がっても2~3日はインフルエンザのウィルスを出しているので感染力があるというのです。インフルエンザではない風邪も結構高い熱が出たりして人にもうつるのですが、インフルエンザは特別扱いにされています。

 患者さんにとっては風邪でもインフルエンザでも休養が一番で、患者さんに「休むのが一番です」と言うと、「イヤーなかなか休めなくて・・・」という返事が返ってきます。そして、職場の話になるのですが、みなさん厳しい労働条件で働いているので驚くと同時に怒りを覚えることが多々あります。労働基準法で決められている有給休暇が取れない、そもそも有給休暇はないと言われているという方もいます。どちらにしても法違反です。ここ数か月1日も休んでいないという患者さんもいます。

 風邪の患者さんに限らず診察室で職場の状況を聞くと、「毎日帰りが11時、12時」、「残業代が払われていない」、「パートで時給だが毎日フルタイムで働いている」、「健康診断がない」などと、なかには労働基準法違反になるような厳しい労働条件が多いのに驚きます。健康診断は、労働安全衛生法で事業主が一人でも労働者を雇っていれば1年に1回行う義務があるのですが、時々費用は自分持ちという方がいます。これも法違反です。建設業で多いのが日雇いで雇われているにもかかわらず、請負扱いになっている「偽装請負」です。賃金が払われていても社会保険、雇用保険は一切なく、仕事中にけがをしても労災保険の対象になりません。

 診察しながら、「法違反ですね」という話になるのですが、下手に会社に言うと解雇されるかもしれないとなかなか言い出せないのが現状のようです。たまに、労働基準監督署や労働組合に相談することを勧めることもあります。働く人が大事にされない社会に未来はありません。なんとかしなくては・・・・。

Copyright © 2003 - 2019 Himawari Clinic. All rights reserved.