ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 所長 平野敏夫

 昨年、漢字検定協会が1年を代表する漢字として選んだのが「新」でした。政権交代による新政権、新型インフルエンザの流行などが理由だそうです。診療所の「新」は、受付の永井さんが育児休暇に入り代わりに新しく田村さんに来ていただきました。また、6月から心療内科に利川先生が新たに加わり、心療内科の診療が毎週火曜日に出来るようになりました。

 日常診療ではそれほど目新しいことはなく、地域の患者さんに加えて、じん肺やアスベスト疾患などの職業病の患者さん、少し減ってきましたが外国人の患者さんも相変わらず来られています。少し変わったのは、6月ごろから路上生活の方たちが増えていることです。ほとんどが隅田川でブルーテント、寝袋、ダンボールで生活している人達です。なぜ増えてきたかというとこれには理由があります。隅田川の公園では毎月第3日曜日に路上生活者を対象に健康相談会を行っています。隅田川周辺の路上生活者を支援している団体が中心になって医師や看護師、鍼灸師、ボランティアの学生などが参加して様々な相談にのっています。相談だけではなく、血圧を測ったり、軽い風邪の人に風邪薬を渡したりしています。路上生活が健康に良くないのは当然で、病気を抱えた方が多いし、また逆に病気になって働けなくなって解雇され、会社の寮も追い出されて路上生活になった方も多いのです。当日の相談だけですむ方もいるのですが、中には医療機関の受診が必要な方もいます。当然保険証はなくお金もないので医療機関にはかかれません。支援団体と相談をして、このような方たちはとりあえず翌日にひまわり診療所を受診してもらおうという事になったのです。高血圧や糖尿病で通院していたが、仕事がなくなって通院できなくなった方、やはり骨折で治療していたが完治しないまま中断している方など様々ですが、中には即入院という方もいます。MSWの高山さんとボランティアの方が生活保護の申請をサポートするのです。

 12月の相談会には私と看護師の下地さんが参加しました。この日はレントゲン車を出して胸のレントゲンを撮って結核の検査もしました。私の役割はレントゲンの診断で、特にじん肺とアスベスト疾患のチェックをすることでした。やはり、レントゲンに影がある方が多く、58名のうち約20名の方に何らかの影がありました。中にはアスベスト肺と思われる方もいました。会社の健康診断ですとレントゲンに異常が出る方はそれほどいません。心臓が肥大し重い心不全でその場から救急車で入院した方もいました。

 病気は予防が第一とよく言われます。隅田川の路上生活者にとっての予防は、何でしょう。やはり路上生活になる前が大事です。

 病気になったら解雇された、派遣切りで会社の寮を追い出された、労災で怪我をして働けなくなったら解雇されたなどで路上生活になった方も多いのです。診療所に来られる患者さんでも路上になってそんなに長くない方が多いのです。路上生活にならないように、職場・地域でサポートできる体制作りが必要だと思います。ひまわり診療所がその一助になればと思います。今年もよろしくお願いします。

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