ひらの亀戸ひまわり診療所

鍼灸師 篠原 憲彰

「六月を綺麗な風の吹くことよ」

正岡 子規

 憂鬱な梅雨の時期にこんな快い風が吹いてくれたら。毎年六、七月のじめじめ、じとじとは、何十年たっても慣れるものではない。北海道生まれの私には、出梅の太陽がひたすら待ち遠しい。でも東京は暑すぎる。ただ、ここ十年位だろうか、梅雨らしくない。晴れ間も、大雨も台風まである。

 患者さんとも「今年の天気は異常ですね」等と話しをする。この文章を書いている今も、アメリカ、中国の大洪水のニュース。アフリカでは、いまだに旱魃が続いている。地球の温暖化。

 地球は、CO2やメタン等の温室効果ガス濃度を調整して、人間や生物が住みやすい気温に保っている。しかし産業革命以降、石油や石炭を燃やすことで05年の大気中CO2濃度は、産業革命以前の1.35倍。

 07年の世界の陸域の気温は、平年より0.67度高くなったとのこと。国連の専門家機関は、地球環境の破綻を防ぐには、平均気温の上昇を「2〜3度」に抑える必要があるという。

 毎日新聞の温暖化特集を読む。そこに「世界の二酸化炭素量に占める主要国一人当たりの排出量比較」(04年)が載っていた。04年だけでも世界で65億トンのCO2が排出された。この中でアメリカが世界の22%。中国が18.1%。後の国は一桁で、日本は4.8%。要するにアメリカと中国で世界のCO2排出量の40%を占めている。これは04年の数値である。今年はどうなっているのか考えてしまった。

 一方04年度の国民一人当たりの比較では、日本は、アメリカの半分。中国は、日本の3分の1強。インドは日本の9分の1。ただし、1970年以降04年まで、中国は4倍以上、インドは10倍に排出量を増やしたという説明書きがあった。そこで、もうひとつ考えてしまった。中国やインドの国民一人当たりの排出量がもし、日本並みになったらと。

 中国の人口は13億人、日本の10倍。インドの人口は10億人、日本の8倍だ。これを基準に考えれば、中国は現在排出している量の30倍、インドは80倍にもなってしまうのだ。これは、実に恐ろしい数値ということになる。

 地球の人口は63億人を超える。どの国も「豊かで快適な生活」を求めるだろう。しかし、既に「温暖化システム」に入った地球。適切な治療が行われなければ、破滅が待っているだけだ。猶予はまだあるのだろうか。

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