ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 所長 平野敏夫

 昨年のひまわり診療所は、大きく変わったこともなく、多くの皆さんとともに診療活動を行って来ました。地域の皆さんはもとより、常盤地域の元炭鉱労働者のじん肺被災者、建設労働者などのアスベスト被災者、仕事で肩、腰、腕などを痛めた労働者、劣悪な労働環境で働いて腰痛になったり労働災害に被災した外国人労働者、職場のいじめやセクハラで精神障害になってしまった労働者、また交通事故で症状がなかなか改善せず長年苦しんでこられた患者さんなど様々な原因で困難な状況にある患者さんが来られました。労災職業病の問題では、5階にある東京労働安全衛生センターや中皮腫・じん肺・アスベストセンターと協力しながら、治療だけでなく補償についても共に取り組んできました。患者さんだけではなく、建築の解体やアスベストの除去作業に携わる労働者のためのアスベスト健康診断も多くの方が受診しました。

 ここ1〜2年、格差社会についてメディアでしばしば報じられ、働いても働いても暮らしていけない「ワーキングプア」、日雇い派遣など不安定な状況で働く非正規労働者、更には「プレカリアート」(イタリアの造語で、不安定さを強いられた労働者階級という意味)など様々な形で取り上げられます。年収200万円ではとても暮らして行けない、結婚も出来ない、子供も育てられないなど若者の厳しい状況が報じられています。もともとは政府の行きすぎた規制緩和、競争重視の政策が原因なのです。参議院選挙に負けた政府与党は、軌道修正をするかのようなポーズを見せつつありますが、老人の医療費自己負担を増やす後期高齢者医療制度の凍結など、今後予想される衆議院選挙のための人気取りとしか思えません。この凍結もいずれ様子を見て解凍するに違いありません。介護保険でも、症状は悪化しているにもかかわらず介護度が下げられて充分な介護が受けられないという声も多く聞かれます。とにかく病気になったり、様々な原因で困難な状況にある人たちにとって生きにくい世の中になっているのは間違いないようです。ひまわり診療所はそのような人たちが発言し行動し生きやすくなるように今年も活動していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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