ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 所長 平野敏夫

 「高齢者切捨て」制度などと呼ばれて評判の悪い医療制度が今問題になっています。昨年6月の法「改正」で決まり来年4月からスタートする予定の後期高齢者医療制度です。この間の国の社会保障費削減政策(2011年度までに1.1兆円削減)の一環として医療費を削減するにあたり、最も医療費がかかると言われる高齢者の自己負担を増やそうというものです。具体的には、75歳以上の高齢者から平均で月6200円の保険料を徴収する。年金が月1万5千円以上の人は年金から天引きされる。これまで会社員の子の扶養家族で保険料を払わなくてよかった人も強制的に徴収されます。天引きされない年金1万5千円以下の人が保険料を滞納すると保険証を取上げられます。また、70〜74歳の自己負担も現行の1割から2割に引き上げられます。とにかく高齢者の医療に対する国の負担を何が何でも減らそうというのが目的です。年をとったら出来るだけ医者にかからず早めに死んでくれという「高齢者切捨て制度」と言われる所以です。当然多方面から反対の声が上がっていました。

 ところがここに来て政府与党からこの法律の一部を凍結する動きが出てきたのです。70〜74歳の自己負担の引き上げと75歳以上の被扶養者からの新規保険料の徴収を凍結しようというのです。参議院選挙で大敗して反省したのでしょうか。どうも本気で反省しているとは思えません。というのも、凍結は半年か1年で、あくまで一時的な凍結でありいずれ解凍して基本路線に戻すつもりでしょう。というのも衆議院選挙が控えているのでここで強行すると衆議院選挙も負けるのではと心配しているとしか思えません。新聞記事でも与党議員の「…ここで立ち止まらないと、次期衆議院選挙は戦えない」という声が紹介されています。

 そもそも今回の「改正」でどれくらいの国庫負担が減るかというと、厚生労働省の試算では約3000億円となっています。しかし、2008年度の予算(概算)を見ると、在日米軍駐留経費負担(いわゆる「思いやり予算」)が1992億円、自衛隊のF-15戦闘機の改修に1123億円の予算要求が防衛省から出されています。これだけで3千億円を超えています。社会保障費だけを一方的に削減して高齢者をいじめるのは止めてもらいたいものです。

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