ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 所長 平野敏夫

  

 5月、診療所で外国人労働者の健康診断を行いました。日本に住む外国籍者の数は増え続け、現在約200万人いると言われています。当然皆さん働いているわけですが、超過滞在で「資格外労働」の方もいれば日系のペルー人やブラジル人など在留資格が認められている労働者もいます。多くの労働者が小零細企業の製造業や建設現場などで厳しい労働条件・環境で働いています。日本には労働安全衛生法という法律があって、事業主は、雇っている労働者に対して1年に1回健康診断をしなくてはいけないのですが、外国人特に超過滞在の外国人には健診を受けさせない事業主が多いのです。そこで、診療所で職場の健康診断と同じ内容で検尿、血液検査、胸のレントゲンなどを1999年から毎年行っています。

 毎回学生や看護師など多くのボランティアも参加してにぎやかに行います。今年も17名のボランティアと診療所のスタッフが参加し21名の外国人が受診しました。国籍は多彩でペルー、中国、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ビルマ、そしてアフリカからガーナ、ウガンダ、ナイジェリア、セネガルです。英語やスペイン語などの通訳を交えて問診し、診察をしました。健診の結果は、幸い重大な病気は見つかりませんでしたが、コレステロールが高かったり軽い肝機能障害がある方が数人おられました。

 受診者の皆さんはやはり製造業や運輸関係などで働いている方が多く、かなり厳しい労働条件で働いている方も何人かおられました。宅配便の倉庫で働いている労働者は夜勤専門で、毎日12時間働いていて、一ヶ月300時間近く夜勤労働をしていることになります。皆さん腰痛や肩の痛みなどを訴えていました。今、日本の労働現場、特に製造業や建設現場は外国人労働者抜きには成り立たなくなっています。雑誌でも紹介されていましたが、吉永小百合のCMで有名なアクオスを製造しているシャープ亀山工場では日本人の半分以下の賃金で日系ブラジル人が働いています。また、最近マスコミでも取り上げられていますが、研修生という名目で中国人やべトナム人が時給300円以下で働かされているという実態も明らかになっています。先日は静岡の浜松で14歳の日系ブラジル人を働かせていた派遣業者が摘発されました。マスコミの取材に「最低賃金以下で働かせられるので良かった」などと悪びれず言っていました。かと思えば同じ静岡の袋井市では、土地を買って家を建てようとした日系ブラジル人に対して町内の自治会が拒否をして追い出すなどということも起きています。なんだか踏んだり蹴ったりです。日本は島国で外国人との付き合いが下手なのかもしれませんが、そんなことで済まされる話ではありません。日本で働く外国人の人権を尊重し共に生活できる社会にしてゆきたいものです。待合室にも外国人の患者さんが来ています。日本語が上手な方もいっぱいいます。よかったら交流してみたらいかがでしょう。

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