ひらの亀戸ひまわり診療所

ひまわり診療所 理事長 平野敏夫

 1990年6月9日に開設記念レセプションを開き、6月21日から診療を開始してちょうど15年になりました。あっという間に15年という気持ちと結構長かったなーという感じがない混ぜですが、私自身は年取ったなーというのが実感です。とはいえ、応援する会の皆さんや地域の患者さんに支えられてここまでやって来ました。

 開設当初は、炭鉱で働いていた多くのじん肺患者さんが北茨城や高萩から毎日来られていましたが、高齢あるいは病状の悪化のため通院できなくなる患者さんも次第に増えて、現在は開設当初の半分以下に減っています。しかし皆さん頑張って通院されています。じん肺では、大工や左官など建設関係の現場で働いてアスベストなどの粉塵を吸ってじん肺になった患者さんが増えてきました。最近では名取先生が所長を務める「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」の活動がテレビなどのメディアに取り上げられることも多く、全国のアスベストによる中皮腫や肺がんの患者さんから相談が来ています。

 保険がないあるいは労災に被災した外国人労働者も通っています。労災の患者さんは主に整形外科の三橋先生が診察していますが、最近は多民族・多文化共生に逆行する東京都による取り締まり強化により減少傾向です。また、4月からは精神科の外来を再開しました。月に2-3回で午前中だけですがすでに患者さんは増えています。

 15年の間に健康保険制度は大きく変わり患者さんが窓口で支払う自己負担が増えました。その間介護保険も発足しましたが、今まさに改悪されようとしています。「病気は自己責任」と言わんばかりに社会保障の削減が進行しています。と同時にイラクに自衛隊が派遣され戦争できる国に進んでいるようにも思えます。働く人達の現状も厳しくなっています。

 JR西日本福知山線の大事故に見られるように、効率化と利益優先の会社の方針の中で、過重労働により心身ともに追い詰められている労働者が増えています。診療所に来られる患者さんの診察の中でも、数ヶ月間1日も休んでいない、残業手当をもらっていない、39度の熱があっても休ませてもらえないなどというひどい話を聞くことが多々あります。何とかしないとえらいことになりそうです。とはいっても小さな診療所で出来ることは高が知れていますが、少しでも世の中が明るくなるようこれからも進んで行きたいと思います。今後もよろしくお願いします。

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