コロナ禍

鍼灸師  篠原 憲彰

 木々は色付き始め、新型コロナの流行から既に9か月、収束の気配は見えません。うつうつとした日々が続きます。距離、マスク、消毒、換気と、基本対応ができれば感染は防げると確信しながら、油断することなく鍼灸治療を行っています。既に蔓延、ウィルスが体内に存在しているでしょう。

 新型コロナの感染力は、せいぜいインフルエンザ程度であることがわかってきました。他にできることとして、免疫をつけることが大切と言われています。

 免疫学の第一人者である阪大・宮坂昌之教授の新聞記事を要約します。

ウィルスのイラスト

 人体の免疫機構は自然免疫と獲得免疫の二段構えになっており、自然免疫は生まれ付き備わり、皮膚、粘膜といったバリア(発汗、涙、くしゃみ、咳、痰も含む)が病原体の侵入を防ぎ、ここが突破されると白血球の一部である食細胞が数時間以内に発動し、病原体を食べてくれます。新型コロナの一割程度は、これで排除できるのではないか、ということです。

 ここで排除されなければ、発動までに数日かかりますが、獲得免疫の司令塔・ヘルパーTリンパ球が指令を出すと、Bリンパ球が抗体を作ってウィルスを殺し、更にキラーTリンパ球に指示すれば、ウィルスに感染した細胞を殺します。抗体がなくても、自然免疫が強いかキラーTリンパ球が活躍すれば回復できます。

 抗体にはウィルスを攻撃する「善玉抗体」、ウィルスを活性化させる「悪玉抗体」、攻撃も活性化もさせない「役なし抗体」があります。中国武漢の感染者の血液を調べると、無症状感染者は抗体が少なく、重症者は常に抗体が多い傾向が示されました。新型コロナは悪玉抗体がウィルスの増殖を助けているようです。また、新型コロナの免疫期間は6か月程度と短く(インフルエンザは3か月)、ワクチンができても有効期間は極めて短いものになりそうです。

 免疫は強すぎると健全な細胞を攻撃します。ストレスを少なくして免疫をフル活用できる状態を保持することが大切です。

 リンパ球は、血液の流れに沿ってパトロールしているので、有酸素運動、お風呂で体温を上げ、血液循環を良くし、朝日を浴び、軽い体操、散歩で体内時計が狂わない様に毎朝リセットすることが大切です。

 免疫力は50代を過ぎると半分になると言われます。新型コロナでも重症者の95%は60代以上です。

 武漢では、新型コロナ患者にも鍼灸治療が行われ、症状改善に効果を上げていると報告が上げられています。防護服を着て足の三里、内関、太衝といった経穴に鍼灸治療を行っていたそうです。鍼灸は身体の力を引き出し、免疫を活性させる治療です。まだしばらく続くコロナ禍、皆様の一助になる様、努めて行きたいと思います。