ひらの亀戸ひまわり診療所
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2020年春号 第110号

ウエスト・サイド・ストーリー

理事長 平野 敏夫

 先日、診療所スタッフとその家族らが集まり、ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』を鑑賞しました。豊洲の石川島播磨重工業の造船所跡に建てられた、客席が360度回転するという独特の劇場で公演されました。

 『ウエスト・サイド・ストーリー』は、1957年に初演されたアメリカのミュージカルですが、1960年代に映画化され、日本でもロングラン上映されて大ヒットとなりました。団塊の世代の人たちには熱中した人もいるでしょう。あまり映画を観たことがなかった私でも劇中の名曲や迫力のあるダンスを記憶しています。ミュージカルのストーリーは、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を基にしたもので、1950年代のニューヨークを舞台にした白人系とプエルトリコ系移民の不良グループの抗争を描いています。抗争しているグループの男女が恋仲になり最後は悲恋に終わるという筋書きです。

 1950年代のアメリカで、中南米の移民が増える中で問題になっていた人種差別や貧困を描きながら、美しい音楽とダイナミックなダンスが満載の魅力的なミュージカルです。劇中では、プエルトリコ人に対する差別を描く場面や貧困層の不良の姿が描かれていますが、現在のアメリカでも、移民に対する排外主義や格差拡大による白人貧困層の問題が大きくなっています。ヨーロッパでも多くの移民が流入し、ドイツなどでも排外主義の勢力が大きくなっています。日本でも、在日韓国・朝鮮人に対する排外主義によるヘイトデモ・スピーチが行われています。また、多くの外国人労働者が働き、昨年からは「特定技能」という資格でさらに多くの外国人が日本で働いていますが、厳しい労働条件・環境で働かされ、労働災害に会ったり、中には「過労死」で亡くなる労働者もいます。外国人を人間ではなく「人材」としか考えていない国の政策が問題です。これからますます外国からの移住者が増えるでしょう。私たちの周りにも多くの外国人が暮らしています。砂町から診療所までの通勤途上でもインド人や中国人に会わない日はありません。診療所にもベトナムからの技能実習生が健康診断を受けに来ています。

 私たちは、『ウエスト・サイド・ストーリー』が描く人種間の対立や排外主義ではなく、多民族・多文化共生の社会を目指しましょう。

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